また一つ「狩り」を終えた老人は、満足そうな笑みを浮かべていた。
手には哀れな犠牲者から奪った金品が握られていたが、老人の興味はそこにはな
かった。「強欲」を意味する通り名を持つこの男は、世間からは決して知られる
ことのない盗賊集団の一人である。彼は戦利品を自らのねぐらへと放り込むと、
先の「狩り」のことを思い出して思考を巡らせていた。彼はわずかに濁った武器
の刃を見やり、あの瞬間は満たされた己の心中が急激に飢えていくのを感じていた。
残忍な欲望を秘め、老人は今日までに奪ってきた命の全てを思い浮かべた。
――やめられぬ。
ろくに日も差さぬ暗がりの奥で、床に落ちた金貨が微かに光るのが見えたが、
彼の意識は濁った刃にしか向けられていなかった。この飢えを満たすことなどで
きるのか…。満足することを知らぬ老人は、次の「狩り」に想いを馳せ続けるのだ。
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