初回なので、自己紹介をします。
「もじぴったん」ゲームデザイナーの澁谷美幸と申します。
澁谷は、昨年入社したての、ピチピチの「ピチ」程度の新人です。製品が出た時は会社に入っていなかったので、発売中の製品を作っていないばかりか、プロジェクトに入る直前まで「もじぴったん」の存在も知らなかった素人です。
しかし澁谷はその後、仕事とは関係なしに、「もじぴったん」をやり込みました。どうも面白かったらしいのです。
そんな澁谷が、隔週ペースでプチ攻略をご紹介します。
第1回目は、「ご立派なおフランス」理論です。どうぞ。
日本語という言語が巷で取り沙汰される時、しばしば、敬語の話題が出てきます。
"「見る」の尊敬語は、「ご覧になる」。では、謙譲語は?"
"「ファミコン語」は、まったくもって日本語の乱れに他ならない!"
これらの文章に代表されるように、敬語を話題にする人達は大抵、「難しいだろ? な? 難しいだろ?」と私達を試すか、あるいは「お前ら、なってない!」と怒っています。
試されたり叱られたり、今の若い人達もなかなか大変です。
さて、今回澁谷がお教えする豆情報は、それらの「言葉のテスト」や「説教」ではあまり話題にのぼらないジミ敬語、「丁寧語」に関するテクニックです。
その名も「ご立派なおフランス」理論。
頭の片隅で覚えておくと一人プレイでも対戦でも役立つ、即効性のあるスペシャルテクです。
さてさて、どんな物凄い理論かと申しますと……
語頭に、とにかく「お」か「ご」をつけて丁寧語を作る
それだけです。
それだけですが、これは効きます。
・効能その1 長い言葉でもかんたんに作れる
「肉屋」→「お肉屋」
「フランス」→「おフランス」
「質問」→「ご質問」
「住所」→「ご住所」
といった具合に、これなら、5文字6文字の言葉も難なく作れます。
さらに、「お給料日」といった単語の場合、「おきゅう」「おきゅうりょう」「おきゅうりょうび」と、4文字以上の言葉が一気に3つもできるわけです。これは便利。
・効能その2 対戦時、相手の言葉を全部ひっくり返せる
元の単語をそのまま利用するので、相手の作った言葉がまるまる、自分の陣地に。
「ちあい」→「たちあい」→「おたちあい」
陣地が稼げるだけでなく、苦労して作った言葉が逆手に取られてしまうので、なんか屈辱的なんですよね。盛り上がります。
肝心の丁寧語ですが、丁寧語……とかしこまって考えるとなかなか思いつかないのですが、結構あるものです。
「お芋」「おいなり」「お団子」「お団子屋」「おそば」「お通帳」などの、モノを丁寧に表現するための、お上品なお母様のお使いになりそうな言葉。
「ご栄転」「お連れ様」「ご遠慮」「ご愛顧」「ご芳名」「ご出席」などの、ビジネス文書やダイレクトメールでよく見かける、ご丁寧で慇懃な言葉。
「お家騒動」「ご無理」「ごもっとも」「お代官様」「ご法度」「御用」などの、いささか時代がかった、ご大層でご立派なお言葉。
澁谷の調べによると、PS2・GBA版の「もじぴったん」には、なんと「お」丁寧語が950語以上、「ご」丁寧語が350語以上、収録されています。
「これはないんじゃないの?」という単語でも案外入っていることが多いので、ぜひぜひお試しください。
以上、もじぴったん豆情報その1・「ご立派なおフランス」理論でした。
もじぴったん ゲームデザイナー 澁谷美幸