2018/09/10

2次元アイドルが現実世界に!?THE IDOLM@STER MR ST@GE!!勝股Pの挑戦

プロデュースした『THE IDOLM@STER』のアイドルたちが、現実世界で リアルタイムにライブパフォーマンス!?『THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆』(以下『MR ST@GE!!』)。担当の勝股Pに誕生秘話を聞きました!

SHARE ON

「多くの人に愛され育まれてきた『THE IDOLM@STER』のアイドルたちを、これからもずっと愛してもらいたい」。最先端技術を使った新イベントの誕生秘話

2018年4~5月、横浜のDMM VR THEATERを舞台に『MR ST@GE!!』の「1st SEASON」が開催。
最新技術 「MR(複合現実)」によって2次元で活躍してきた765PRO ALLSTARSのアイドルたちが、3次元の会場でインタラクティブなライブパフォーマンスを繰り広げる新しい体験となっています。


観客とキャスト、スタッフがひとつになれる『THE IDOLM@STER』ならではの熱気と先端技術を融合したこのイベントの勝股Pが、大切にしたいこととは?

bne_imas_katsumata1_01_2.jpg

©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.



■『THE IDOLM@STER』はユーザー、キャスト、スタッフが手を取り合って作っていくコンテンツ

bne_imas_katsumata1_02.jpg
――勝股さんは5年前の入社以降、2014年の「THE IDOLM@STER MILLION LIVE 1st LIVE HAPPY☆PERFORM@NCE!!」を皮切りに、『THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!』など様々なイベントを中心に『THE IDOLM@STER』をサポートしてきたそうですが、このシリーズにどんな魅力を感じていますか?

『THE IDOLM@STER』は、アイドルプロデュースゲームとして2005年にスタート以来、プレイヤーとしてアイドルをプロデュース・育成しているプロデューサーさん(ユーザーの呼称)たちが作品をとても愛してくださっているんだなということをイベントのたびに実感いたします。

その想いに応えようと、同時にキャスト/スタッフのみなさんの愛や情熱もものすごくかけられていて、プロデューサーさん、キャストさん、スタッフさんなど、かかわる人達みんなの気持ちでつくられているコンテンツだというところに大きな魅力を感じています。

だからこそ、僕もその気持ちを受け取り届ける立場として、誰よりも情熱と愛を注いでやってやる!という気持ちでかかわらせていただいています。また、僕らが担っている『THE IDOLM@STER』のイベントは「同好の士の集いの場」の提供であるということを常に強く意識しています。ステージを楽しみながら、「作品を好きな人たちがお互いの愛や情熱を直接伝え合える場所」だからこそ、アイドルマスターの持つ、双方向な関係性、一体感、仲間が集まるアットホームな雰囲気といった大きな魅力を、常に大切にしたいと思っています。

bne_imas_katsumata1_03.jpg
――作品にかかわる中で、「様々な人の『THE IDOLM@STER』への愛」を感じたのですね。

今回の『MR ST@GE!!』も、その中で生まれたアイディアです。ちょうどシリーズ開始から11年目にあたる2016年に、初心に戻って改めてこれからのイベントの未来を描こうということになったのですが、同時に、「未来へのワクワク感も感じてもらいたい」ということになって。そこで、「イベント発の新しいキャラクターコンテンツを実現したい」と考えたのが『MR ST@GE!!』の始まりです。
いろいろ模索していく中で、当時の演出家さんがその場に実在するかのようにCGのキャラクターでリアルタイムの反応を提供できる、リアルタイムモーションのアイディアを出してくださって。「好きなキャラクターがこちらのアクションに合わせてリアルタイムで動いて話してくれて、それってキャラクター表現の究極形じゃないか!」という話になりました。

ちょうどグループ会社のバンダイナムコスタジオに、リアルタイムモーション技術“Banacast ”も生まれていたので、まずは『THE IDOLM@STER PRODUCER MEETING 2017』で、その技術を使って(天海)春香に開幕のあいさつをしてもらいました。

bne_imas_katsumata1_04.jpg
bne_imas_katsumata1_05.jpg
bne_imas_katsumata1_06.jpg

※2017年1月「※2017年1月「THE IDOLM@STER PRODUCER MEETING 2017」の様子」

©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


――あの演出はプロデューサーさんの間でも大きな話題になっていましたね!

ここでプロデューサーさんたちに「実際にステージに春香がいた!」とポジティブな反応をたくさんいただけたことが、3次元の会場でインタラクティブなライブパフォーマンスをする『MR ST@GE!!』が実現される後押しになりました。
僕らの仕事はプロデューサーさんたちが「楽しくプロデュースのしがいがある」と思えるものを提供していくことだと考えています。時には新しい提案も加えながらこちらの一方的な提案にならないように、基準は常にプロデューサーさんたちが喜んでくれているのかどうかだと思っているんです。


■2次元のアイドルを、現実の世界に連れてくるための挑戦

――とはいえ、2次元のアイドルを現実の世界に連れてくるためには、様々な試行錯誤があったと思います。その際、どんな準備をしたのでしょう?

とにかく「アイドルたちが実際にそこにいる!」と思える臨場感のある体験をしてもらうことが重要だと考えていました。イベントならではの生の臨場感を生業としている僕らは、あくまで3次元側での体験にこだわり、「春香たちに現実の世界で会えた!!」と感じてもらいたかったんです。

そこで試行錯誤していく中で、始まりの会場としてDMM VR THEATERさんに、演出家さんと一緒にほぼ熱意だけを持って相談をしに行きました。すると、THEATERのスタッフさんも共感をしてくださって「ぜひやりましょう!」と快諾してくださったんですよ。後々聞いたんですけど、スタッフさんもシリーズが好きな方がたくさんいたそうです。(笑)

bne_imas_katsumata1_07.jpg
bne_imas_katsumata1_08.jpg
――『THE IDOLM@STER』が多くの人々に愛されてきたからこその出来事ですね。

本当にそう思います。『THE IDOLM@STER』シリーズには実際にゲームを遊んでくださるプロデューサーさんをはじめ、キャストのみなさん、スタッフさんの情熱で、長年培ってきた土壌があります。
そして、その10年以上の間に、ただCGを動かすだけではなく、会場の観客とコミュニケーションも取れるリアルタイムモーション技術を使用できる時代が来て、PS4の『アイドルマスター ステラステージ』に使用した表現が豊かな最新のグラフィックも使わせてもらえるようになりました。

そう考えると、『MR ST@GE!!』は新しい試みではありますが、過去の積み重ねがあったからこその企画だとも思うんです。DMM VR THEATERのキャパシティは300人程度で、ちょうど駆け出しのアイドルが頑張ってライブをするのにぴったりな規模感。駆け出しアイドルをプロデュースしともにトップアイドルを目指す『THE IDOLM@STER』シリーズの世界観ともマッチし、この『MR ST@GE!!』では、ここからアイドルたちをトップアイドルとして大きな会場まで連れていけたらな、と、わくわくしながら準備を進めていました。

――『THE IDOLM@STER』シリーズは声優さんたちによるライブも大きな人気を集めていますが、それとはまた別の、新しいシリーズが立ち上がるような感覚ですか?

声優さんのライブイベントは既に『THE IDOLM@STER』にとってかけがえのないものになっていて、それがあるからこそ『MR ST@GE!!』が生まれたと思います。ライブイベントの側面ももちろんありますが、『MR ST@GE!!』は声優イベントの延長というよりも、アニメ、ゲーム、CD、マンガ、ライブ――と様々なメディアミックスを続けてきたシリーズにとっての、“アイドルたちが活躍する新しいワンチョイス”になってほしいという気持ちで進めています。
『MR ST@GE!!』があることで、他の様々な展開との相乗効果が生まれるようにしていきたいですね。


■『MR ST@GE!!』の魅力は、ライブならではの魅力が詰まった「その場限りの体験」

――また、『MR ST@GE!!』では、ライブならではの様々な工夫も加えられています。

MCでの掛け合いは大切にしています。それに、「担当アイドル」がいる『THE IDOLM@STER』の特性を生かして、公演によって主演のアイドルが変わる「主演アイドル制」も導入しました。「同好の士の集い」にしたいという気持ちは『MR ST@GE!!』も同じなので、主演アイドル制にすれば、同じアイドルの担当プロデューサーさんの交流の場にもなると思ったんです。トークパートも“ライブに来たお客さん“としてだけではなく“プロデューサーさん”としても掛け合えるよう工夫しました。

そういうことも含めて、アイドル達が色々なことを相談するというアイディアが生まれました。会場のプロデューサーさんに「プロデューサーさん、どう思いますか?」とアイドルが投げかけるんです。質問を用意することで生まれる、ライブならではの、その公演限りのドラマを大切にしています。これも、アイドル達がリアルタイムで動いて話せるからこそできることだと思います。

bne_imas_katsumata1_09.jpg

bne_imas_katsumata1_10_2.jpg
bne_imas_katsumata1_11_2.jpg
bne_imas_katsumata1_12.jpg

©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


また、『MR ST@GE!!』は実際のライブスタッフに担当していただいているので、実は照明の照らし方も音の出し方も、ライブと同じようなつくりなんです。アイドルももちろん等身にしているので、「(我那覇)響って意外と小さいんだな」とか、「(双海)亜美・真美って意外と背が高いんだな」とか、MR ST@GE!!ならではの再発見もあると思います。
『MR ST@GE!!』では照明に合わせて映像にも調整を加える必要があるので、照明さんも映像さんも大変だったと思います。演目の一部でアイドルが生身のバックダンサーを引き連れて歌唱するパートがあるのですが、一緒に踊ってくれる生身のダンサーさんも、アイドルと掛け合ったり頷き合ったりすることで、「今ここにいる」感覚を際立たせてくれました。

そうして、アイドルを実際のステージに立たせるために、はじめてづくしのなかでみんなで試行錯誤をしていきました。そして、最後にプロデューサーさんが来てくださることで完成するこの空間も、様々な方の愛が詰まったコンテンツになっているなと思っています。だからこそ、ぜひ、みなさんには現地で体感をしていただきたいと思っています。
ずっと好きでいてくださっている方も、最近興味を持ったという方にも一度興味本位で来ていただいて、「こんなこともできそうだな」「765プロ以外のアイドルでやったらどうなるかな」と色々想像しながら、765PRO ALLSTARSのアイドル達の活躍を楽しんでもらえたら嬉しいです!


【取材後記(前編を終えて)】
前編ではMR技術を使った新イベント『THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆』ができるまでを語ってくれた勝股P。その話からは、プロデューサー、キャスト、スタッフのみなさんがひとつになって育んできたキャラクターへの愛情を感じることができました。

続く後編では、実際に「1st SEASON」を開催してみての感想や、2018年9月15日に開催される「2nd SEASON」への意気込みなどを通して、「10年以上愛されてきたキャラクターたちを、これからも末永く愛してもらいたい」という、このプロジェクトに込められた想いについて伺っていきます!

★後編の記事
THE IDOLM@STER MR ST@GE!!で広げたい、アイドルプロデュースの可能性 ≫≫≫


【取材・文 杉山 仁】
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。

アソビモット トップへ戻る