風のクロノア/開発者リレーエッセイ

ワッツ・オン・ファントマイル?
今回のエッセイスト: ムービーチーム・由水 桂
ドア・トゥ・ライトウェーヴ
  ある初夏の日、私はクロノアに出会った。当時彼はまだ生まれたばかりで、物言うこともなく、ただライトウェーヴのマトリクスの中で、その黒曜石のような瞳を静かに輝かせていた。
コンテ用紙には旅の日程が書かれていて、私たちの行く手に聳える巨大な山脈さえもが暗示されているかに思えた。
旅立ちはインヴァース・キネマティクス
「準備はいいかい?」私が話しかけるや否や、彼は驚くべきスピードで画面中を走りだした!私はそのモーション・ブラーに翻弄され、彼を捕まえることさえ出来なかったが、ふと見渡すと、風の村が眼前に広がっているのを発見した。ブリーガルには、色鮮やかにテクスチャーマップされた草原が広がり、フラクタル・ディスプレースメントの風が渡る。私たちはついにファントマイルに到着したのだ!
真夜中のモーフギズモたち
クロノア・ヒューポークロノアのもっとも重要な友人の一人ヒューポーは、ある日突然大空のグラデーションの間から、流れ星よろしくその姿をあらわした。彼らは1カットで意気投合し、広がりを増すファントマイルを駆け巡る。このころから、クロノアは微笑みをたたえるようになっていた。彼の持つエムヴェロープによって、しばしば笑い、時に驚き、時には怒りさえも感じているようだった。私はライトウェーヴのグリッドを越え、はるかファントマイルの地平へ向けて彼らと共に旅を続ける決意を固めた。
だが、実際私はクロノアたちへの想いとガディウスである自分との間で葛藤していたため、ファントマイルを安定させるために幾人かの賢明なライトウェーヴの住人たちの力を借りることになったのだ。
イン・ザ・パーティクル・ストーム
激しいパーティクルの嵐の中、クロノアは去った。後に残されたのは、キーフレームの思い出と、寒空に響き渡るナティの歌声。記憶はノンリニアに編集され、歌声は風景の中にインターリーヴされた。
いまでは本に記された数々の思い出は、バックアップストレージの中に静かに眠る。風と共に、涙と共に。