風のクロノア/開発者リレーエッセイ
OUTER VISION 4:お話しを考えよう
クロノア で、だいたいの目安がついたトコで、いよいよ具体的な物語を考えるってワケ。
ヒューポー
おおまかな流れとここでどんな話がみたいなものはだいたい決まっていたんだ。そこで会話なんかのディテールや、キャラクターの性格付けといったところを、パペットDISP.のコンテにきって起こしたんだ。
クロノア ねえねえ、この時点でやっと生まれたキャラクターがいるって聞いたんだけど。
ヒューポー そう! なんとあのジョーカー! 悪役がガディウスと幻獣だけで、どうもうまく話がノってこない。で、狂言回しが欲しいなーってんで、コンテの途中で突然生まれたのがアイツだったんだ!
クロノア そうか! それであんなにいーかげんな性格なんだ。
ヒューポー なにせ台詞のほとんどがノーチェック。コンテきってる本人が一番楽しそーだったって話もチラホラと。
クロノア アバウトな開発環境だなぁ。
ヒューポー
大丈夫、他はちゃんとチェックしてもらってたから。
あ、でもEXTRA VISIONはまったく好きほーだいでオッケーだっけ。ま、番外編だしね。
クロノア でもさ、簡単なものも含めれば結構たくさんパペットDISP.あるよね。
ヒューポー うん。意外と時間かかってたし。コンテをきって、グラフィックを用意して、カメラを設定して、動きをプログラムして、台詞と効果音、BGMをいれて…ちょっとしたアニメや映画造りみたいなモンだよね。
クロノア 実際でき上がったものみたら、プログラマーさんが思わぬカッコいい演出入れてくれてて、チキショー負けるかってコンテ切り直したり(笑)。
ヒューポー あがってきたムービー見てショック受けたり(笑)。
クロノア とりあえずさ、わかりやすく、でも饒舌にならないようにって気をつかったっんだって。最初は普通に面白く、二度目はああなるほどってうなずいてもらえるように。
ヒューポー 後半、ちょっとばっかり説明的な台詞が増えたのが残念だったけど。
クロノア アクションゲームだからね。ストーリーがアクションの流れを壊すのは出来るだけ避けたかったんで、どうしても急ぎ足か、はしょりがちになっちゃう。
ヒューポー んー、今後の大きな課題だなぁ。ゲームとストーリーの両立かぁ。
クロノア ボクの台詞もさ、感情移入の妨げにならないよう、出来るだけ自発的な主張や行動はさせたくないって考えられたんだ。ディレクター、ずいぶん気をつかってたなぁ。
ヒューポー そのおかげでクロノア、言われるがままの自主性がないキャラだとか言われもしたけどね(笑)。
クロノア いやいや、一方でヒューポーは自ら手を下さず、クロノアをそそのかして動かすだけのヤなヤツだとの噂もあったし(笑)。
ヒューポー なんのなんの、クロノアさんこそ…。
クロノア いえいえ、やっぱりヒューポーさんが…。
二人 (互いを牽制するように)
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ…。

クロノア ま、まぁそれはそれとして。
ヒューポー んー、そうだなぁ…でもやり残したこともけっこう多そうだしなぁ。
クロノア 開発的に? 物語的に?
ヒューポー どっちもじゃない? やっぱり夢って部分に関しては、百人百様の考えがあって当然だしね。舌足らずになったのはしょうがないかも。
クロノア ボツになったものだって、ちゃんと表現してあげればいいものになったかもしれないね。
ヒューポー んー、じっちゃんが生き返るシーンは入れたかったなぁ。
クロノア ナハトゥムとの飛行壺での追いかけっこってのもあったっけ。
実現してればカッコよかったのにね。
ヒューポー パメラの飛行ステージとかさ…。
クロノア バラディウムの第二形態とかもあったのに…。
ヒューポー バルーとの長ったらしい漫才もコンテでボツったし…。
クロノア ボクのガールフレンドとか…。
ヒューポー ぼくのラストの台詞とか…。
ジョーカー 私の愛らしい口上とか…。
バルー ワシとレフィスちゃんの感動の結婚式とか…。
シードフ
ワチのカッコ良い演説でクロノアが勇気づけられるトコとか…。
ソ・レール 私がソ・ラールに耐え切れずこっそり寝首をかきに行くところとか…。
ソ・ラール ところが真実の愛に気付いたソ・レールが俺様と手に手をとって友情に涙しやがるシーンとか…。
ガディウス 私がファントマイルを征服し、ナハトゥムをも従者と従え、全ての者を我が足元に跪かせながら「ガディウス王万歳。ガディウス王万歳」と感涙のうちに崇められるシーンとか…。
ヒューポー 嘘付きは帰れ。
レフィス 私の出番とか…。