2018/09/04

eスポーツ大会現場レポ!「CEO 2018」「鉄拳プロチャンピオンシップ」

2018年夏に開催された「CEO 2018」(アメリカ)と「鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3」(秋葉原)。国内外それぞれの現場の空気感とeスポーツの今後について、バンダイナムコエンターテインメント e-sports課の深海雄太さんに自身の抱負について聞いてみました!

SHARE ON

実力者たちが集まるeスポーツ格闘ゲーム大会は、観客の盛り上がりや選手たちのコミュニケーションなど見どころ満載!

■初日は新日本プロレスも! アメリカの「CEO 2018」は“格闘技のエンターテインメント”

――海外でeスポーツはめちゃめちゃ盛り上がっているみたいですね。 今回、深海さんが行ってきた「CEO 2018」は、そもそもどういう大会なんでしょう? 日本では情報がまだ少ないので、ぜひ詳しく教えてほしいです!

深海:「CEO(Community Effort Orlando)」は、もともとはアメリカのゲーム好きが集まるコミュニティが始めた小規模な大会だったそうです。人が集まり、どんどん規模が大きくなって現在は格闘ゲームのeスポーツ大会としては、「EVO(Evolution Championship Series)」に次ぐ規模の大会といわれています。弊社バンダイナムコエンターテインメントからは『鉄拳7』と『ドラゴンボール ファイターズ』を出展させていただきました!

bne_e-sports_Fukami_01.jpg

「CEO 2018」会場。本物のリングが!

――会場の雰囲気はどうでしたか?

深海:『鉄拳7』『ドラゴンボール ファイターズ』をはじめ、世界中のいろいろな格闘ゲームが集まる大会ということで、選手も観客も相当な人数が詰めかけていました。現地へ実際に行ってみて、アメリカと日本の熱狂度に大きな差を実感しました。格闘ゲームのキャラクターのコスプレをしたファンのみなさんも参加していて、コミコン(※コミコン・インターナショナル (Comic-Con International)。アメリカ発祥のポップカルチャーの大規模イベント)のような雰囲気なんです! それに、日本と比べて女性の参加者も多い印象がありましたね。

bne_e-sports_Fukami_03.jpg

大画面で『鉄拳7』や『ドラゴンボール ファイターズ』などの白熱した戦いが観戦できる!

――「CEO 2018」会場では『鉄拳7』や『ドラゴンボール ファイターズ』の試合も観戦されたんですよね。自社のタイトルの試合はどんな感じでしたか?

深海:
各国の強豪が参加した決勝はすごく面白い試合でした。日本の選手もエントリーしていて、『鉄拳7』の試合では日本人選手は残念ながら決勝に残れなかったのですが、『ドラゴンボール ファイターズ』はベスト8の半分は日本人、決勝も日本人同士の対決でした。やはり同じ日本人が世界の舞台で活躍している姿は、見ていて楽しかったですよ!

「CEO 2018」はとにかく見ている人たちの熱量がすごく伝わってきた大会でした。試合の最中に歓声が上がって、観戦している人たちほぼ全員が立ち上がるような盛り上がりなんです! リアルなスポーツの試合を応援しているのと同じようにeスポーツを楽しんでいました。

僕自身、一eスポーツファンとしてCEOを楽しんだ感覚を大事にしつつ、どこかのタイミングで、自社のプロジェクトでアウトプットできたらなと思っています。


■『鉄拳7』プロライセンス所持者が競う「鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3」

――続いて、聞きたいのが、7月末に行われた「鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3」。こちらはバンダイナムコエンターテインメント主催の大会だったとのことですが、どんな感じだったんでしょう?

「鉄拳プロチャンピオンシップ」は、日本eスポーツ連合発行の『鉄拳7』のプロライセンス選手を招待して開催している大会で、今回で2回目となります。

bne_e-sports_Fukami_04.jpg

ライセンス取得者9名が参戦した「鉄拳プロチャンピオンシップ」。

――プロライセンス選手ということは、相当な実力者が集まる戦いってことですよね! レベル高そう……。

深海:これまでの「鉄拳プロチャンピオンシップ」はいずれもe-sports SQUARE AKIHABARAで開催し、お客様にライブ配信で視聴していただく形で開催しています。3月に行われた第一回目はトーナメント形式の個人戦、二回目となる今回は違う見せ方で視聴者の方に楽しんでいただきたいという思いから、3on3のチーム戦を実施しました。

――チーム戦だと、戦う順番などの戦略も重要になってきますよね。それは、見る側もよりディープに楽しめそう! 当日はどのような流れだったんでしょう?

深海:まず、前回の大会の上位三位入賞者にチームオーナーになってもらい、彼らがドラフトで他の選手を指名する形で三名一組のチームを結成しました。そして、三つのチームで総当たりのリーグ戦を戦い、優勝・準優勝・三位の順位を決めていく流れです。また、特定の条件で勝利を決めた選手に個人賞の授与なども行いました。

bne_e-sports_Fukami_05.jpg

「鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3」の様子。実況配信中に、個人賞(ローソン協賛)を獲得した選手に「からあげクンいただきました~」とコミカルなコメントが入る瞬間も!

「鉄拳プロチャンピオンシップ 3on3」ではサポートメンバーとしてずっと会場にいたのですが、どの試合もレベルが高く見どころがあり、5時間の実況があっという間でしたね。あと、チーム戦ということで、同じチームになった選手たちが試合の合間でコミュニケーションをとっていたのが印象的でした。配信で見ている視聴者の方たちも選手同士の会話は気になると思うので、そうした場面が見られる大会にできて、とてもよかったと思います。


■eスポーツを盛り上げ、選手たちの活躍の場を広げたい

bne_e-sports_Fukami_06.jpg
――海外と日本の大会、それぞれ見ごたえがありそうですが、深海さんご自身、何を感じましたか?

深海:
個人的には、海外と日本のエンターテインメントとしての魅力の差を大きく感じました。海外の方が大きくリードしているように感じましたね。初めて海外の大規模大会を観たということもありますが、お客さんの盛り上がり方が国内と全然違っていたのに何よりも驚きました。前から話だけは聞いておりましたが、こればかりは現地に行って肌で感じてみないと分からないと思いました。

――国内の大会も海外に負けずぜひ盛り上がってほしいです! バンダイナムコエンターテインメントのe-sports課では、今後どうやってeスポーツを盛り上げていくんですか?

深海:プロライセンス選手のみの招待制大会『鉄拳プロチャンピオンシップ』はこれからも開催していく予定です。また、プロライセンスの発行大会である「MASTER CUP TRY」も定期的に開催を予定しております。次回は10月21日(日)に「MASTER CUP TRY TOKYO」が開催されます。『鉄拳7』のeスポーツの発展のために2つの大会は、今後とも続けていくものになると思います。

e-sports課としては、国内の選手に世界で活躍してほしいという思いがあります。他の媒体様や協賛していただく企業様との取り組みを続ける中で、選手のみなさんが海外に行くためのサポートにも軸を置いていけたらと思います。


■入社3年目。自ら積極的に動きeスポーツのエンタメ文化をつくっていく人になりたい

bne_e-sports_Fukami_07.jpg
――深海さんは、バンダイナムコエンターテインメント入社3年目で、2018年からe-sports課に入られたんですね。深海さん自身の未来への抱負も聞きたいです!

深海:前身となるe-sports準備室ができたときに非常に興味を感じまして、準備室から新規事業となる際に公募があり、自身でe-sports課に入ることを希望し、2018年の1月から同課で業務に取り組んでおります。

まだまだ自分はサポート業務が中心で勉強中の身ですが、前例のないことばかりで自ら積極的に動かないと何も生まれない環境で日々奮闘しております。尊敬する先輩から「新しいことに最初から携わった人は、先駆者として重宝される」といわれたことがあり、いつか「e-sportsのことを聞くなら深海だよね」と言ってもらえる存在になりたいと思いました。そこを目指して頑張っていきたいです。

――ありがとうございました!


【取材後記】
ムキムキの深海さんは、筋トレをしているそう。それはゲームの上達にも何か相関性が!? と気になって撮影タイムに聞いてみたところ、「筋トレと格闘ゲームの上達は、僕自身は関係ないですね……。でも、どちらも継続しないと廃れていく点では、似ているかもしれません。」とのこと。

bne_e-sports_Fukami_08.jpg

ご本人はかなり照れていましたが、あえてのジャケットなしで撮影をさせてもらいました!

『鉄拳』以外にもサッカーや野球などのスポーツゲームが好きで、よくプレイするんだそう。筋肉がつきすぎたせいか、ゲーム機を持つときに二の腕の圧迫感がすごくて、ちょっと困っているんだとか。

とても熱心に語ってくれた深海さん。謙虚な中にも、自ら積極的に動く気迫を感じました! 深海さんのような若手の力が盛り上げるeスポーツの世界、楽しみにしています!

【取材・文 田下愛】
映画・マンガ・音楽などエンターテイメントを軸に活動中のプロライター。自称「下手のゲーム好き」。

【写真・佐坂和也】

アソビモット トップへ戻る