第8回:プログラマー【1】
片山 武史
主に音周りのプログラムを担当した片山です。これを書いている現在、まさに夏絶好調。そこで、この猛暑を乗り切る為、背筋も凍りつく、恐怖と戦慄のリッジ開発秘話をお届けしましょう。
決して一人ではご覧にならないで下さい…。

(始まりは暑い夏)

そう、思い返せばあの時、1999年7の月。そこから全てが始まったのです。
リッジとは無関係な仕事に携わっていた私に、恐怖の大王ならぬ、謎の依頼が降ってきました。

「人手が足りないんで、2,3ヶ月リッジの仕事どう?サウンドなんだけど?」

あぁ、これが大王も裸足で逃げ出す、未曾有の恐怖と戦慄の幕開けになるとは誰が予想し得たでせうか。(実は多くの人が予想していたとの噂アリ)

(怪奇!闇に光る妖しき火花)

あっ、という間に2,3ヶ月が過ぎ、仕事も終わ…るわけはなく、チームはショウに向けての準備で大童でありました。そう、恐怖の大王は来なくても締め切りは来るのです。ショウを数日後に控え、今日も今日とて念入りな打ち合わせが始まります。

「もっと見た目のインパクトが欲しいよね。よし、火花のエフェクト、ショウに間に合わせよう。じゃ、よろしく」

そう、サウンドと火花には未だ人類が知らざる、哲学的にして深淵な関係が潜んでいたに違い有りません。シクシク。

(戦慄!謎の怪音波)

そしていよいよ発売も迫る年明けのある日。制作は佳境を越えて、越境状態(意味不明)。既に時間の概念は崩壊し、御天道様ごめんなさいの24時間制から俺的時間制(36時間制やら48時間制やら)にチームは移行。
そんな、意識も朦朧とした中、それは聞こえたのです。始めは気のせいかと思ったその「音」しかし、何度聞いても聞こえるのです。聞こえるはずのない「音」が。あぁ、まさに背筋も凍る恐怖。そう、曲の合間に幽かなノイズが!これなら、亡者の呻き声の方がどれだけマシだった事か。そうしてバグ取りの夜は更けていくのです。

(全ての終わり)

そして数々の恐怖を乗り切り、RIDGE RACER Vは無事発売。御陰様を持ちまして評判も上々。これで全ての苦労は報われ、私にも平穏な日々が帰って来た…と思っていたら、リッジの為に抜けたお仕事が、パワーアップして待ち構えていました。

そう、悪夢は終わらない。See you next dream !