バンダイナムコエンターテインメント
キャリア採用情報

事業ディビジョン長
インタビュー~バンダイナムコエンターテインメントの
事業におけるスタンス~

成功を「偶然」ではなく、
「必然」として作り出すために

『アイドルマスター』『テイルズ オブ』『鉄拳』シリーズなどの自社IP(キャラクター等の知的財産)をはじめ、『ドラゴンボール』『NARUTO -ナルト-』『ONE PIECE』などの世界的IPを権利者(以下版権元)からお借りし、家庭用ゲームやスマートフォン向けゲームアプリなどのネットワークコンテンツを世界中に展開するバンダイナムコエンターテインメント。

今回は版権元よりお借りしたIPを中心としたゲームタイトルのプロデュース業務およびマーケティング業務を担う第1IP事業ディビジョンのディビジョン長を務める手塚晃司へ、当社事業におけるスタンスについて聞きました。

プロフィール

株式会社バンダイナムコエンターテインメント
第1IP事業ディビジョン ディビジョン長(執行役員)
手塚 晃司

ゲーム会社を経て、2003年、バンダイネットワークス株式会社に入社し、モバイルコンテンツの企画開発に従事。2009年、株式会社バンダイナムコゲームス(現・株式会社バンダイナムコエンターテインメント)との統合後は、スマートフォン向けゲームアプリ事業の立ち上げや家庭用ゲーム、アニメ制作に携わり責任者を歴任。「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」「ドラゴンボール レジェンズ」「ONE PIECE トレジャークルーズ」「レイヤードストーリーズ ゼロ」等多岐にわたるタイトルを世に送り出す。2017年、デジタルとリアルを融合させたエンターテインメントの創出を目指して株式会社BXD(現・株式会社バンダイナムコネクサス)を設立、現在は同社代表取締役社長を兼任。

世界で存在感のあるパブリッシャーとなるべく成長を続ける

数あるエンターテインメント企業の中から、この採用サイトのページをご覧いただいている方でしたら、バンダイナムコエンターテインメントに対して何かしらのイメージをお持ちかもしれません。

一方で、世界から見たバンダイナムコエンターテインメントの立ち位置は意外と知られていないのではないでしょうか。まずはグローバル市場における当社について紐解いてみたいと思います。

当社は、世界中のお客様に向けてネットワークコンテンツ事業、家庭用ゲーム事業、ライフエンターテイメント事業と様々な事業を展開しています。

まず、スマートフォン向けゲームアプリの展開については、世界のモバイルコンテンツパブリッシャーランキングでは8位、国内パブリッシャーの中ではトップに位置しています(※1)。たとえば、「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」は累計3.5億ダウンロード、「ONE PIECE バウンティラッシュ」は累計1.2億ダウンロードを突破、高いMAU(Monthly Active Users/1カ月あたりのアクティブユーザー数)を維持しており、おかげさまでアプリストアにも常時アイコンが表示されるような状態が続いています。

次に、家庭用ゲームにおいても、世界中に多くのファンを有する漫画・アニメIPのゲームタイトル、『テイルズ オブ』『鉄拳』『エースコンバット』『太鼓の達人』等、当社オリジナルIPのゲームタイトルなどを制作、展開しています。また、株式会社フロム・ソフトウェアとアクションRPG「ELDEN RING(エルデンリング)」を共同開発のうえ当社は海外でのパブリッシングを担当するなど多岐にわたる取り組みもおこなっています。

「ELDEN RING(エルデンリング)」では世界累計出荷本数2,000万本を突破と多くのお客様にプレーいただいたことに加え、「The Game Awards 2022」ではその年最も優れたゲームが選出される「ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)」を受賞するなど、国際的にも高く評価いただいているゲームタイトルを世界中に提供しています。

こうした家庭用ゲームを含むゲーム収益ランキングでも世界12位(※2)と、バンダイナムコエンターテインメントは、名実ともに世界的に存在感のあるパブリッシャーとして成長しています。

※1: 出典 data.ai(2022年下半期データ)
※2: 出典 グローバルゲームマーケットレポート2022(2023年5月アップデート版)

「成功を『偶然』ではなく、『必然』として作り出す」ために

これまで私たちがそのような成長を続けてこれたのは、「成功を『偶然』ではなく、『必然』として作り出すこと」を常に心がけてきたからではないかと考えています。

もともとゲーム業界は、水物商売で予測が難しいと言われており、「数打てば当たる」と量で仕掛ける傾向もあったことから個人の能力や感性に依存しがちでした。しかし、昨今のゲーム制作は大規模化、長期化、複雑化が進み、世界中のゲームファンが待ちわびるような所謂“AAA(トリプルエー)タイトル”ともなれば、ハリウッド映画の制作費に匹敵することもあるほどです。よって、その成否の責任を一個人が担う規模ではとうになくなっています。

だからこそ私たちは、成功や失敗の原因を問い続け、仮説を立て分析、検証を続けています。そして、そこから抽出される「成功確度を上げること」を当社の知見として蓄積しています。プロジェクト毎の担当者が自身の経験を通して得た糧を次につなげるのみならず、組織としても知見を共有し、全社的に活かす仕組みを確立してきました。「出して終わり」にせず、振り返り続けてきたことで、打ち手一つひとつの再現性を高め、最近では必然的にあるべき姿に近づけることができる手応えを感じているところです。

この点は、当社の優位性として指摘いただくことの多い豊富で多彩なIP、事業規模の大きさ、商品展開の幅広さ、グローバル展開をおこなえる海外拠点の充実とともに、当社の大きな強みのひとつととらえています。

具体例を一部挙げると、企画書やビジネスプランシートのテンプレート、ベストプラクティスや失敗事例をも含む「べし・べからず集」などが社内ポータルサイトで全社公開されており、常にブラッシュアップしています。ほかにも、ゼネラルマネージャー(部長級)数名がパネルディスカッション形式で社員が抱える悩みや課題に答える配信イベントなどが定期開催されています。このようにして、それぞれの糧を社内に共有して再現性を高める仕組みを作り、結果的に団体戦意識の風土にもつながっています。

世界中のお客様のことを考え、知る責務

コンテンツの企画・開発やマーケティングでの成功のポイントは「顧客視点」が通念ではありますが、私たちのお客様は世界中に遍在していますのでワールドワイドな顧客視点をもつことが鍵となります。国内の目に見えるお客様のことであればイメージしやすいですが、環境・文化・価値観などが異なるさまざまな国や地域のお客様を鮮明に想像することは容易くはありません。よってその難しさに向き合い、理解しようとする姿勢が不可欠です。

そこで、私たちはユーザー調査やインタビューの実施はもちろん、世界各地のイベントに足を運び自らの目でファンの皆様の反応を確認しています。過去には、調査結果や現地で見てきた情報をもとに、ターゲット像の認識共有を目的としたイメージ映像を作り、制作に携わるプロジェクト関係者全員に共有する取り組みをおこなったこともあります。

世界中から集めたリアルな感情に基づいた定量/定性データは多くを物語り、お客様理解の一助となっています。私が代表取締役社長を兼任しているバンダイナムコネクサス(バンダイナムコグループ関連会社)には、総勢100名以上のメンバーで構成されるデータ分析専門チームが存在します。本チームは日々市場とお客様を深堀する役割を担い、バンダイナムコエンターテインメントのゲーム制作プロジェクトをデータ分析面から支援し、ともに「成功を『必然』として作り出す」ことに務めています。

この「顧客視点」を重視した取り組みこそが、版権元や開発会社をはじめとした多くの関係者の思いを背負ってお客様と相対する「パブリッシャーとしての責務」と考えています。

IPファンの熱量を高める「IPマーチャンダイジング」

最後に、ゲームづくりにとどまらず、IPファンを盛り上げる市場づくりを行うための「IPマーチャンダイジング」について触れたいと思います。

実は、私たちの仕事は、ある一つのゲーム企画よりも前から始まっています。IPファンの熱量を長期的な視点で継続的に高めていき、ファンが「そのとき欲しいもの」を「欲しいタイミング」で提供することができれば「必然的に売れる」と考え、その全体像を設計していくのです。

そのためには、1~2年単位ではなく5~10年スパンの中長期的な視点をもって版権元とともにIPの未来を描く必要があります。そして、その未来を実現するために、タイミングや手法などの具体的な製販一体のしかけをデータに基づき検討し、ワールドワイドに提案していきます。

たとえば、IP映画作品公開に合わせてニューヨーク・タイムズスクエアでのエリアジャック広告や、フランスのビーチでIPキャラクターの衣装を着用した方が多数出現するプロモーションイベント開催などの大型施策をおこなったこともあります。IP全体に関わるプロモーションと聞くと一見ゲームのプロモーションからは遠く感じられるかもしれませんが、私たちは、IPファンの熱量を高める取り組みが、長期的にIPが大きく育つことにもつながり、結果的にゲームコンテンツで遊んでいただくことにもつながっていくという考え方をもっています。

IPファン目線を持ってのマーケティングドリブンのアプローチこそが、私たちの「秘伝のタレ」とも言えると思います。

「0→1」の種を集合知によって「1→100」にできる場所

当社では、これまでお話させていただいたような「成功を『必然』として作り出す」ことをともに推進してくださる方を募集しています。

ここまでの話から、もしかしますと「仕組みができているのであれば、社員は裁量のない歯車になるだけでないか」と想像される方もいらっしゃるかもしれません。それは全くの逆で、ここまでお話ししたことは、個人の感性やひらめきによる「0→1」を全社的な集合知によって安全・安心・円滑に「1→100」にしていくための取り組みです。「右脳」と「左脳」の可能性のいずれも最大化して、おもしろいことを実現させていきたいと考えています。

繰り返しになりますが、当社は世界中のお客様とつながるチャネルをもち、多数のIPを大規模かつダイナミックに展開できる組織環境があり、知見があり、メンバーがいます。この先、さらに集合知性を高めてくださる皆様と一緒に取り組んでいけることを楽しみにしています。

※本記事は2024年1月時点の情報に基づいたものです