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白亜の文明発祥の地・ギリシャ。『国家規模の転換』を迎えた後、歴史を歩む過程に於て彼等の信ずるものは変化したが、「古代の神々」は、芸術・物語の中にその姿を残していた。この為人々の心には(「信仰」は別に)、いまだ、「神話の世界」がひっそりと息づいていたが、アテネ市内に住む街の小さなパン屋の娘・ソフィーティアも、神話の世界を心に宿す清楚な乙女である。彼女は礼拝(ミサ)の後、『先人の築いた歴史』に敬意を込め、「アテネの守護神」であった知恵と武勇の女神・アテナにも、そっと思いを馳せるのであった。…また、心優しい彼女は子供好きでもある。休みには自分の焼いたパンを持って、近所の子供達と遺跡に赴いては「古の神々」の“物語”を聞かせていた。 「そしてね、ここが、デメテルの住んでいた神殿よ。この女神を怒らせるとね……」 ……最近はこれらの遺跡もかなり荒廃が進行している。装飾の盗掘は昔からだが、「城塞建造の資材云々」としてどんどん解体されてゆくのである。彼女は、せめてこれらの遺跡が健在な今、子供達にそれを見せておきたかったのだろう。 そんな彼女にも、いや、彼女だからこそ、遂に運命の日が訪れるのである。 早朝、いつもの様に森の泉で水浴していた彼女の前に、突如まばゆい光が射した。と、それは壮年男性の姿となったではないか!余りのことに唖然とする彼女に、その光は自分はオリュンポス12神の一人、“鍛冶の神”ヘパイストスであると告げる。 「……しかし、私などただの人間の娘。何の御用なのでしょう?まさか」
……人間が己が欲から作り出した武器の中に、ただひとつ、「神の武器の領域」に達してしまった剣がある。しかもそれは「幾多の犠牲と執念、年月をかけて盲目的に鍛えられた」上に「戦乱で斬られた人間の憎悪を吸い尽くした」為、もはや邪剣となっている。
心優しい彼女は、他でもない古代神の言葉にうなづかずにはいられなかった。しかし、か弱い私にそんな大役が勤まるのでしょうか?
“我が神殿に寄るがいい。俺が鍛えた最高の武具を授けよう。使い方?なに、いざとなったら、アテナかアレス(軍神)が付いていてくれるから、大丈夫だ” ソフィーティアは家に戻ると旅支度を整え、家族の目覚める前にそっと家を出た。願わくば、勝利と成功の女神・ニケの御加護のあらんことを…… |
■ステージ設定 |
神託のままに彼女が立ち寄った、ヘパイストスの神殿「エウリュディケ神殿(宮殿)」 ギリシャの神殿には、人間が建てて神に捧げたものと、神が宮殿として“自ら”建てたものと2種類あるが、この神殿は無論後者である。器用な神ヘパイストスは、武具の他にも装身具から神殿まで、何でも作れるモデラーであった。その彼の作品ゆえ、色々な技巧が凝らされていてもおかしくない。古代に稀な大アーチがその最たるものであろう。 |