2018/08/31

中高生がエンタメ事業提案!?バンダイナムコが支援する課題解決型学習とは

この夏、バンダイナムコエンターテインメントが支援した『INNOVATION CAMP』、通称『イノキャン』 にて、「2日間でエンターテインメントの定義を変える事業を提案せよ」というミッションに取り組んだ中高生の様子をレポート!

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2018年8月、エンターテインメントを題材に、中高生が新しい事業開発に挑みました

バンダイナムコエンターテインメントはエンタメ会社としてその知見を生かし、NPO法人ハックジャパンが企画・運営する、『INNOVATION CAMP』をサポート。ハックジャパン は代表の小山優輝さんを筆頭に史上最年少の役員平均年齢で立ち上げられた大阪発のNPO法人です。
「2日間でエンターテインメントの定義を変える事業を提案せよ」
……って、中高生には難しすぎません?
参加者はこのイベントでどんな体験をし、何を得たのでしょうか?参加者と同世代の娘を育児中、ママライターのDaiが1日レポートします!

■10:00 起業家教育と課題解決型学習を行うプログラム、いよいよスタート!

bne_innovationcamp_01.jpg山手線を見下ろすバンダイナムコエンターテインメント4階会議室に続々と集まってきた中高生は、男子15名、女子11名の計26名。この参加のために青森や福岡から来たという子もいます。

まずは運営スタッフやメンター、参加者の自己紹介から始まります。
メンターが「バンダイナムコエンターテインメントのゲームで遊んだことがある人」と聞くと挙手したのは約半数。「参加者はみんなゲーム好きだろう」と勝手に思い込んでいたので意外です。

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少しほぐれたところで、広報課の木村隆成さんが登場。よどみなく朗らかに会社概要を紹介していきます。

この説明でバンダイナムコエンターテインメントがゲームだけでなくライブや舞台などエンターテインメント全般を手がけていることを知った私。(勉強不足ですみません)
だから今回のミッションも「ゲーム」じゃなくて「エンターテインメント」の事業提案なのね、と納得です。


■11:00 第一線で活躍するプロデューサーの講演

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バンダイナムコエンターテインメント ゼネラルプロデューサー兼BXD社長の手塚晃司さんが登壇。「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」「ONE PIECE トレジャークルーズ」等のスマートフォンアプリをプロデュースした実績がある方で、中高生たちも興味津々です。

これから「エンターテインメントの定義を変える事業」を実際に考えていく 中高生たちに、惜しみなくノウハウを伝授。たとえば……

●面白ければ何でもあり!みんながつまらないと思っているものをエンタメ化するといい。

●「誰に→何を→どうやって」の順序で考える(マーケットイン)。
「何を」を先に考えるプロダクトインではダメ。

●「誰に」はできるだけ具体的に描き(ペルソナ)、その人の「笑顔」をイメージして。

最初は「会社の偉い人の講演か……」と緊張していた子も、話のおもしろさに惹きつけられてだんだん前のめりに。メモを取る子も増えていきます。

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終わりの質疑応答で、真っ先に出た質問は「仕事はアソビになりえますか?」。すかさず「もちろん!こんな一生懸命やっておもしろい仕事はないよ」と手塚さん。
さらに、「アソビになるのは仕事内容によりますか?それとも自分の意識ですか?」と深掘りする質問者に、「意識。若い頃、仕事がつらかったときは『今は修行のフェーズだ。いつか偉くなって伝記で書いてやる!』って、意識を変えて楽しんだよ」と実体験 からアドバイスします。

他にも「なぜBXDという会社を作ったのですか?」「自分がやっていることがうまくいかないときは?」「エンタメと教育は対立するもの?」など次々と質問が出て、とても濃い質疑応答です。
手塚さんは、学生時代に教員免許を取得しましたが、「嫌いな勉強が楽しくなる方法」を実現したくなってエンターテインメントの道に進んだそう。この講演もとても楽しい学びになっています。本やWebで学ぶのもいいけど、「一流クリエイターの講義を生で聞く価値」ってこういうところにあるんですね。

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約1時間の講義と質疑応答を終え、手塚さんと一緒に全員で記念撮影!


■12:00 なぜこのプログラムに参加したの? ランチタイム中の中高生に聞いてみました!

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午後からのワークショップのために男女混合で3〜4人ずつ、全7チームが作られ、チームごとにランチタイムに。
食事を終えたテーブルにお邪魔して、参加者に聞いてみました。

――どうしてこのプログラムに参加したのですか?

●お父さんに勧められて、今年の4月にハックジャパン主催の別の プログラムに参加して貴重な体験ができました。今回もお父さんが教えてくれて、おもしろそうだと思ったので。

●中高一貫校で受験がないので、「夏休みに何か参加してみたい」と思って自分で探しました。自分の意見を言うのが苦手なので、言えるようになりたくて。ゲームはしないのですが、BNEはおもしろそうな会社だし、行って見てみたいな、と思いました。

参加理由も意気込み も三者三様ですね。


■13:00 事業コンセプトを考えるワークショップ

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いよいよワークショプがスタート。
各チームのテーブルには「コンセプトって何だ?」のプリントが置かれています。

「(チーム名)は、(Who)の(What)を(How)で解決する(どんな)サービス」の( )の空欄 を埋めるのが今日のゴールだそう。しかも、「知っているようなものでなく、イノベーションを生むこと」と、かなりハードルが高いです……。

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各チーム、ホワイトボードや付箋を使いながら、話し合いを進めていきます。
意見が出ずに沈黙したり、議論がうまく進まなくなったりしたときには、バンダイナムコエンターテインメントとハックジャパンのメンターが入ってサポートも。

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バンダイナムコエンターテインメントからのメンター3人、ネットワークコンテンツを扱うNE事業部の武田 理志さん、小美野 日出文さん、森田 佳那子さんも、すべてのテーブルを回ります。

クリエイティブな考え方をアドバイスしたり、質問に答えたり、違う視点を提示したり。「答え」は教えずに、議論が深まるようなヒントを伝えます。


■15:00 各チーム中間発表

あっという間に2時間が経ち、中間発表に。
各チーム1分程度で事業のコンセプトを発表し、現状で迷っている部分をメンターに質問したり、コメントやアドバイスをもらったりしています。一部を紹介すると……

【チームほげほげの事業案】
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10〜30代のタクシー利用者と運転手とのコミュニケーションを日本のアニメ文化で改善するサービス。両者の間にディスプレイを設置し、運転手を二次元キャラクターで表示して会話しやすくする。

★小美野さんコメント
うちがやりそうな企画ですね。僕はものすごくタクシーに乗りますが、移動は睡眠時間にしたいんです。そういうお客さんにはヒーリング映像も用意するとか、ディスプレイを積んだら様々なニーズに応えて、いろいろできそうですね。


【チームFrontの事業案】
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東京オリンピックで来日する外国人観光客向け事業で、猛暑で熱くなりすぎた道路に打ち水をするとアニメキャラクターや浮世絵が出てくる。スタンプラリーみたいに楽しんでもらうとか、広告にもできそう。

★森田さんコメント
とてもおもしろくてすごい!温度で色をコントロールする温感インクは日本企業が得意な技術だし、もしかしたら海外の人は見たことないかもしれない。日本の技術力をアピールできるところもいいですね。

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この他のチームもレベルの高い提案揃い。
中高生がたった1日でここまでできるとは驚きです!


■16:30バンダイナムコエンターテインメント社内見学で、1日目終了

最後に広報課のメンターが社内を案内します。

bne_innovationcamp_14.jpg打ち合わせスペースと……

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社員食堂を見学しました

3階会議室では「予約のパネルがカッコイイ」、13階の社員食堂では「ここなら1日中いられるよ」という声が聞こえました。今日1日の感想 を聞いてみると……

●チームの仲間と仲良くなれたり、今まで出会ったことのないような個性的な人に出会えたりしたのが、何より嬉しかったです!

●思ったよりうまくいかなかった。自分の頭にあることを人に理解してもらえるように伝えるのが難しかったです。グループでの意見交換につまっていた時に間に入ってくださって、非常に気にかけてくださり感謝しております。

●普段の授業とはまた少し違った、ホワイトボードや付箋を使ってみんなでディスカッションするのが、とても楽しかったです。

席に戻り、終わりの挨拶でメンターが「疲れたけど学びになったな、という人!」と声をかけると全員の手が一斉に挙がります。みんな、いい顔してます!

バンダイナムコエンターテインメントでのプログラムは以上で終了です。
明日は会場をドワンゴさんに移して事業案の続きを練り、完成した案の審査会もあるそう。明日もがんばってくださいね!


■終了後、バンダイナムコエンターテインメントの木村さんにインタビュー

――最後に広報課の木村さんにお話を聞いてみました。

木村さん(以下、木村):当社としてこういう取り組みは初めてだったのですが、中高生たちだからこそでてくる発想はとてもおもしろかったです。
社内メンターからの各チームのフィードバックに対し、学生さん全員が真剣にメモをとりながら、企画のブラッシュアップに向け、奮闘している姿がとても印象的で、こちらも刺激を受けましたし、うれしかったですね。

――今後、やってみたいことは?

木村:バンダイナムコエンターテインメントとして今回のようなキャリア教育や、地域貢献を通じて、お子さんや地域の方々にアソビを提供していきたいと考えています。


■審査の結果は……?

こうして1日密着を終え、「うちの子もこういうプログラムに参加させたいな」と思いながら帰路についたのですが……

やっぱり、どうしても結果が気になります!
そこで後日、木村さんに審査結果を教えていただきました。

●バンダイナムコエンターテインメント賞
チーム「Front」。最も暑い夏と話題の平成最後の夏。
このチームが着眼したのは、この「暑さ」です。この暑さをどう解消するのかと彼らが出したアイデアは打ち水。しかし打ち水といっても楽しさはない……。
そこで日本の誇るアニメのキャラクターと打ち水をコラボレーションさせることで「見て楽しめ」「暑さも抑える」、一石二鳥のプランを作り出しました。
打ち水をすることで予め加工を施しておいた道路からキャラクターが浮き上がるという案。2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人の方も楽しめる「暑さ対策」として注目を集め、且つ、アソビの観点を織り交ぜている点から受賞しました。

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バンダイナムコエンターテインメントの木村さんから、チーム「Front」へ賞品が手渡されました


●最優秀賞
チーム「パンダナムコ」。パンダナムコチームが注目したのは「駅」です。
2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人の方が増える中、私たちでさえ迷いやすい東京の駅。特に新宿駅など多くの路線が入り組むハブ駅は“ダンジョン“とも呼ばれています。
そんな課題を見つけ出し、このチームがプレゼンしたのは、最近話題のAR技術と組み合わせたナビゲーションアプリです。実際に日本を代表するキャラクターが画面内に登場し、目的地まで案内してくれます。これまでもARを使ったナビアプリはありましたが、駅構内まで対応するものはなく、“一番迷いやすい駅構内“という点に着眼したことが評価され、最優秀賞を受賞しました。

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NPO法人ハックジャパンの小山さんからチーム「パンダナムコ」へ表彰状が手渡されました


■NPO法人ハックジャパン・小山さんのコメント
今回のテーマとなった「新しいエンターテインメント」という分野は、これまでの過去3年間を通しても初めての試みでした。バンダイナムコエンターテインメントのみなさまには、プログラム設計の段階から細部に至るまで、何度も意見交換をさせていただきました。この緻密に練られたプログラムは、参加した子供達にとって学びの濃い、充実した2日間になったと思います。参加後のアンケートにも「とても濃い、楽しい、刺激的な2日間」や「色んなことを吸収できた最高の夏休みでした」など、非常に嬉しいコメントが寄せられていました。

1日目の午前中の段階では、これから何をしていくのかと不安に満ちていた子供達もいましたが、2日目にはお昼ご飯を買いに行く暇も惜しむほどチームと議論して、自分たちのベストを出し切るというまでに成長していました。私も審査員として審査に関わりましたが、子ども達が生み出し発表したアイデアは、どれもチーム一丸となって議論を重ねた集大成のようにみえました。

このような機会を全ての子供達に提供することは決して簡単なことではありませんが、今回のINNOVATION CAMPが参加された方の人生の中で大きな変化を生み出すきっかけとなれば幸いです。


参加者のみなさん、スタッフのみなさん、お疲れ様でした!


【取材・文 Dai】
17年間の編集プロダクション勤務を経てフリーに。中学生と1歳児の年齢差姉妹を育児中。

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